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春の柔らかな風の中、彼は包むように私を抱きしめきた。

突然のことにドキッとしたが、私も絡めるように彼の背中に手をまわす。
嬉しい、ずっと待っていたこの瞬間を。
彼は湯上がりなのか、うっすら汗をかきいい匂いがする。ずっとこのままいたい。

彼の両腕は風が強くなるほど、力強くなる。熱い鼓動を感じる。私もこのドキドキを彼に伝えていく。私は彼を離さない。

だけど、この幸せがいつまでも続かないことを、私はたちは知っている。
その時、背後から女の声がした。

女は私たちを引き離すと、彼を抱きしめ頬ずりし、家の中へ消えていった。
彼は乾いた微笑みで私を見ていた。

「テメェ、ぶっ殺すぞ!」
私は涙で濡れていた。
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公開:21/03/03 20:50

安楽人

ずふの素人ですが、物書きに興味を持ってしまい、
2021.1月からはじめました。
身近にあった出来事をヒントに書いています。
書くことがこんな面白いとは!

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