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昔々、鬼子・忌子と呼ばれる者達が流れつく島があった。
その名は鬼ヶ島。そこで彼らは自給自足の日々を過ごす。
彼らは鬼花と呼ばれる歪な形の果実を愛した。人に嫌われるそれを野菜に貴賤なしと受け入れた。

ある日、都から桃太郎なる侍が島に来て略奪行為を行った。
黄金の麦を、白銀の米を、黄銅の干し肉を奪い去った。
鬼は退治されて当たり前だと笑う侍。
彼らは涙し、侍を、人々を憎んだ。
しかし、ある鬼子は高らかに笑った。
「醜い感情を持てば奴らと同じになる。我らは笑おう。それが我らの魅力だ!」
彼らは笑った。悲しみを吹き飛ばす為に。
その笑い声は都にまで届く。
略奪されたのに笑うとは不気味だ。この食料に毒が入っているのではないか?
都人は疑い、食料を捨てた。
それを口にするは貧しき者。彼らはその味に感動し、花咲く未来を夢見て鬼ヶ島へと渡る決意をした。
後に都は鬼に奪われた宝が人財であった事に気付いた。
ファンタジー
公開:21/03/02 21:03

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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