顔②

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僕は顔がある彼女とデートした。まずはカフェでおしゃべり。他の客が発するノイズはあるが関係ない。僕は彼女の顔を凝視していた。それから昼になるとサッカーを観に行った。彼女はあまり詳しくないので僕がレクチャーした。ここでもノイズが多く聞こえてきたが彼女と一緒にいれば平気だった。そして試合が終わって歩いて駅へ向かう時、初めて彼女の手を握った。彼女の顔が赤く染まっているのが分かった。僕のほうも高揚していた。それからラーメン屋で遅い昼食を食べた。このときからあまりノイズが気にならなくなっていた。勘定して外へ出ると雪が降っていた。また手をつないで歩いた。そのとき雪が彼女の鼻先をとらえた。僕はそれを見て彼女に「ちょっと待って」と言った。彼女は不思議そうな顔をしながら僕を見た。僕は軽く彼女の鼻先についている雪を払った。彼女はそれを見て笑った。それが最高に可愛かった。そして彼女を一生放したくない、そう思った。
その他
公開:21/03/02 20:31

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