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ことの始まりは女子高生の鞄だった。電車のドア付近の女子高生が大きな鞄を持っていた。猫でも入っているのか、鞄がごそごそと動く。女子高生は手で押さえていたが留め金がぱちりとはずれた。あわてて押さえたが小さな機械が跳び出した。アームが三、四本ある。まさに子猫くらいのロボットか。底にバネでもついていてぴょんぴょんと乗客の間を跳びまわる。乗客の一人のコートのポケットにくちばしのようにアームを突っ込んだ。「注入ロボットなんです」女子高生が追いかける。ロボットはクチバシから液体を入れてまた跳ねた。「ただの塩水です。すみません」ロボットは次に若い女性のブーツを狙ってまた液体を入れた。「キャッ!」「本当にすみません」どうやらロボットは何にでも塩水を注入する癖がある。乗客のバッグやズボンの裾などに注入する。女子高生がつかまえたとき、電車が駅に着いた。女子高生はロボットを抱えて降りて、ようやく車内は落ち着いた。
その他
公開:21/03/02 17:03
2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。
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