私が愛した男-3-

8
6

タオルの上に道具一式。
爪の長さを揃え、表面を整える。ローズのオイルに代わって、さくらの香りが最近はお気に入り。ネイルの前に、素の爪を美しく。
「今日もよく働いてくれたね、ありがと」「よーく潤ってね」
一本一本マッサージでねぎらう。マニキュアの筆を瓶でしごいて、いざ、滑走。
根元から爪先へ、センター、両サイド。一刷毛一刷毛、より艶やかに。夜空を模したグラデーション。スワロのストーンに、ラメグリッターで星を煌めかす。
―今日のどう、フル?
―その星きれいだね。あかりによく似合うよ。
「ハデ過ぎだろ」「その爪で料理するのか」「痛そうじゃん、そんなもんつけて」不意に耳元で甦るノイズ。
これぐらいカワイイもんじゃない。許してくれたって。。。

―そのネイルで思い出した曲があるんだ。再生するね。
フルなら顔色をうかがわなくていい。ありのままの私でいい。
フルの大きな手が私の手を包んだ。
SF
公開:21/03/01 18:00
更新:21/03/01 20:15
#ピグマリオン #イケメンヒューマノイド #ネイル男女 #AIを書くつもりが #人間のコミュ不全に #141 #画像まりもけろさん

こぶみかん( 関西 )

ssの庭に迷い込んだこぶみかん。数々のお話の面白さに魅せられ、通い始めた。
気が付いたら、庭の片隅に挿し穂されていた。
いつか実を結ぶまでじっくり育つといいね。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容