バカにつける薬

0
2

「博士、完成ですね…」
「うむ、ついに…」

20XX年、ある製薬会社が開発した『バカにつける薬』は瞬く間に世界中に広まり、遂にバカは根絶された。

ところがバカがいなくなった世界では、劣等者を炙り出し優越感を得ようとする人間の醜い習性から生まれた極端な学歴闘争が激化し、良い大学、良い中等教育、良い遺伝子…と人々は他者との差別化を図りDNAレベルでの改変を施すようになっていった。

このような社会に嫌気がさした人々は「賢い選択」と称して自殺を支持、その件数は年々増加し、10年が経つ頃には年間の自殺者数が1億人を超えた。


「博士、完成ですね…」
「うむ、ついに…」

博士は完成したばかりの『自殺志願者につける薬』を試薬すると
欝々とした自殺願望がすっと消えるとともに、1つの考えが浮かんだ。

「別に“私”が死ななくても、いいんじゃね?」





世界の死者数は今日も増加し続けている。
SF
公開:21/03/01 17:29

義母ちゃん( 日本 )

Cラン地方大学生(21)
好きな言葉は「休日」です
1週間前くらいから本を読むことにハマってます

宜しくお願い致します。

Twitter: @guraguriraaaaan
Instagram: official_kusanagi

 

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容