ミモザ

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「何見てるの?」
「ん? ミモザ」
残寒の夜風に彼女の髪が揺れる。
「どれがミモザか僕にはわかんないな」
空を見上げたら、足をすくわれるような星の数。
「やっぱり、波照間に来てよかった。東京じゃ見れないもん」
「珍しいの?」
「全然、珍しくないよ」
笑顔の彼女を見ると、飛行機で来た甲斐がある。
行き先はどこでもよかった。
想いが届くなら。
テーブルにあるオレンジ色のシャンパンを持っていく。
「ありがと。オレンジジュース?」
「いや、ミモザ。ミモザが好きって言ってたから」
「へぇ、ミモザっていう飲み物なんだ」
「僕はコレしか知らなかったよ」
カシャンと軽くグラスを合わせる。
「おいしー」
「よかった。毎日、いや週3でもいい。君と乾杯したい」
「んー?」
「君が好きだってこと」
「ミモザを持って出直してきてくれる? 花の」
「ミモザってまだあるの!」
2人見つめ笑う。
初めて南十字を見つけた。
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公開:21/03/02 00:24
更新:21/03/02 00:25

ibara_hime

文章を削る練習をしています。
妄想は得意。感想は苦手。   ・・・・・・です。

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