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私は花が大好きだ。昨日も今日も飽きる事なく庭に植えられた花を眺めている。
小さなは花しゃがみ込んで、中くらいの花は立ち上がって、大きな花は口を開けて空を見上げながらじっと見つめる。
「君って本当に花が好きなんだね」
突然声を掛けられた。誰?
「ここだよここ」
頭に花をつけた小人が中くらいの花の上に立っていた。
「僕は花の妖精。きっと、今の君にしか見えない存在だよ」
何で今の私にしか見えないの?
「だって目線が同じ位置にあるのは今しかないんだから。人間ってのは同じ目線の相手としか話そうとしない。そして忘れる生き物だ。君も大きくなったら僕の事を小さな頃に見た幻想だって思うはずさ。君のママみたいにね」
ひねくれた物言いに私は笑ってしまった。
「何が可笑しい?」
だってママ、今も貴方とお話したいから背の高い花を育てているんだよ。貴方こそママに忘れられているのが怖くて見ないふりをしていたんじゃない?
ファンタジー
公開:21/02/28 21:04

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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