千五百円の雪見だいふく
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雪見だいふくが千五百円の世界に変わってしまった。
ある日、急にせいぜい百円ちょっとだった雪見だいふくの値段だけ、十倍以上に跳ね上がっていたのだ。
雪見大福を食べる友人に「それ高くない?」と尋ねるが、「こんなもっちりした皮にコクのあるバニラが入って千五百円は安いよ~」と諭されてしまった。
意を決して、私はロッテの本社に問い合わせた。最初は取り合ってもらえなかったが、私の迫力に気圧されて、責任者に代わってもらうことができた。
「ついに秘密を知る者が現れましたか」責任者は全てを諦めた口調で言った。「私は世界を作り替える能力を持っていて、消費者に気づかれないよう少しずつ、雪見だいふくの値段を上げていたのです。気づかれてしまってはもう終わりですね」
気づけば私はアイスコーナーにいた。雪見だいふくの値段は百三十円に戻っており、私はすっきりした心持ちで、隣にあった三万円のガリガリ君を手にレジに向かった。
ある日、急にせいぜい百円ちょっとだった雪見だいふくの値段だけ、十倍以上に跳ね上がっていたのだ。
雪見大福を食べる友人に「それ高くない?」と尋ねるが、「こんなもっちりした皮にコクのあるバニラが入って千五百円は安いよ~」と諭されてしまった。
意を決して、私はロッテの本社に問い合わせた。最初は取り合ってもらえなかったが、私の迫力に気圧されて、責任者に代わってもらうことができた。
「ついに秘密を知る者が現れましたか」責任者は全てを諦めた口調で言った。「私は世界を作り替える能力を持っていて、消費者に気づかれないよう少しずつ、雪見だいふくの値段を上げていたのです。気づかれてしまってはもう終わりですね」
気づけば私はアイスコーナーにいた。雪見だいふくの値段は百三十円に戻っており、私はすっきりした心持ちで、隣にあった三万円のガリガリ君を手にレジに向かった。
SF
公開:21/02/28 20:56
仕事をしながら1日1時間小説を書く二児の父です(ショートショートや短編、稀に中編)。
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