少女ふわり

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パステルカラーの風鈴が気まぐれな風とそれぞれの音を奏でる。
笹の間でひらひら泳ぐ尻尾が隠れんぼをするあの家の2階から、伸びる飾り梁の先端に提灯1つ。
その上に浴衣姿の少女が片足の下駄をぶらつかせ、薄ら笑いを浮かべて言う

遅かったじゃない
待ちくたびれて飛び降りようとしたわ

そんな君に僕は言う。

そんなとこにいたら危ないよ
せっかく綺麗な浴衣なんだから
降りてきて近くで見せてよ

晩夏の頃の1日が2人にとって最高の喜び。始まりはいつも2人で照れ笑い。

仕方なしに着てるだけよ
私はまだ誰のものでもないの
それにここは危なくなんかないわよ
証明してあげる

そう言うと彼女はいつも通り軽やかに、
最初に飛んだ時の怯えもなく
彼女を縛る鎖もなく
宙を舞う。
守り切れるかもあやふやな
僕の腕に向かって。

少女ふわり
青春
公開:21/02/28 13:52

ぱん( 福岡 )

こんにちは
社会人しながらゆっくり書いてみます。
通勤時間だけの作家さん気分です。
 

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