2通の遺書

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「長さん。聞きましたか?」
若手刑事がリビングから出てきた。
「ああ。2通出たんだって?」
「はい。しかも内容は真逆です」
「遺書が2通…」
遺体の傍らの遺書には自殺を仄めかす内容
書斎の引出しからは自分が死んだら殺害された事を示す遺書が出てきた。
「大作家ともなると豪邸の規模が違いますね」
若手刑事はため息をつく。
「メディアに一切出ない作家として有名です。過去に失踪事件を起こした事でも有名です」
「んー。書斎の遺書の方が古いな」
2通の遺書を比べる。どちらも文面は印刷、署名は直筆だ。
「流石に僕でも他殺だと。リビングの方は犯人が偽装の為に置いたんですね」
「いや、自殺だな。お前、なんでこの人が作家先生だと分かるんだ?」
「え、この状況なら…そうでしょう?」
「顔も知らないのに?」
「え?」
「そういやこの先生の最新作を思い出した」

「『代筆者の慟哭』だ。失踪事件をもう一度洗うぞ」
ミステリー・推理
公開:21/02/28 13:27

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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