お母さんスイッチ
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「『お母さん』!体操服どこに置いたか知らない!?」
カチッ、と音がして、スイッチが入る。
『体操服は部屋の引き出しの二番目よ』
「ありがと!!」
バタバタと遠ざかっていく息子を見て、ぷつんとスイッチが切れた。
と、思ったら。
「『お母さん』、コーヒー頼める?」
また、カチッとスイッチが入る。
『わかったわ。ブラックで良かったわね』
「ああ、ありがとう」
旦那の好みの濃さのブラックコーヒーを出して、そこで、またスイッチが切れる。
一息つこう…と、思った瞬間。
「『お母さん』!!今日絵の具がいるの忘れてた!!」
「あれ?『お母さん』、ネクタイどこだっけ」
「『お母さん』!!」
「『お母さん』」
カチッ、カチッ、カチッ、カチッ。
スイッチが入っては、切れて、切れては、入って。
(自分の名前、何だっけ)
私は、『お母さん』という名のロボットになる。
カチッ、と音がして、スイッチが入る。
『体操服は部屋の引き出しの二番目よ』
「ありがと!!」
バタバタと遠ざかっていく息子を見て、ぷつんとスイッチが切れた。
と、思ったら。
「『お母さん』、コーヒー頼める?」
また、カチッとスイッチが入る。
『わかったわ。ブラックで良かったわね』
「ああ、ありがとう」
旦那の好みの濃さのブラックコーヒーを出して、そこで、またスイッチが切れる。
一息つこう…と、思った瞬間。
「『お母さん』!!今日絵の具がいるの忘れてた!!」
「あれ?『お母さん』、ネクタイどこだっけ」
「『お母さん』!!」
「『お母さん』」
カチッ、カチッ、カチッ、カチッ。
スイッチが入っては、切れて、切れては、入って。
(自分の名前、何だっけ)
私は、『お母さん』という名のロボットになる。
SF
公開:21/02/28 11:24
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