おすすすめ

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-ご注文はお決まりですか
-いえ、まだなんですけど
-こちらなんてどうですか
-小さなお花のサラダ……ですか
-はい、おすすすめですよ

「す」が1つ多くない?少々気になったが、はにかむ女性店員が好ましく思えて、すすめられるままにそれを注文した。

-お待たせいたしました
サラダには、薄いピンクの花が散りばめられていた。
-ミニ牡丹っていうお花ですよ
幾重にも重なる花びらに、子供の時に作った重ねたティッシュと輪ゴムの花飾りのことを思い出す。

どこから紛れ込んだのか、真っ白な柴犬がちょこんと行儀よくとなりに座っている。牡丹を1つ手のひらにのせて差し出てみる。白柴は、富貴な花を愛でるようにじーっとそれを見ていたが、サッと右手をあげ、ぺっと私の手の平に重ねた。
ぐしゃ。
牡丹が押された。ガタン!窓の外の景色が動いた。ガタンゴトン、ガタンゴトン。音の間隔が狭まり、流れる景色が速さを増してゆく。
公開:21/02/27 17:25
更新:21/02/27 17:26

マーモット( 長野県 )

初投稿は2020/8/17。
SSGで作品を読んだり書いたり読んでもらえたりするのは幸せです。趣味はほっつき歩き&走り(ながらの妄想)。
 

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