沈丁花

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何気ないことかもしれない。
甘い香りに気を魅かれたのは。
白+ピンクの小花。
それが鞠のように集まっている。
「なに、見てるの?」
ドキッとした。
「この花の香りがいいなと思って」
「ふうん。沈丁花ね」
「ジンチョウゲっていうのかあ。可愛いね」
「ええ。そうね」
「春が来たようにほっこりするね」
「ええ。時節ね」
「君みたいな花だと思うんだ」
「そう」
僕は、ただドキドキしていた。
「えっと、だから、僕はジンチョウゲが好きなんだ」
「そう。私も嫌いじゃないわ」
「いや、甘いだけじゃなくて凛としてたりするのが好きなんだ」
「ええ。私も毒があるところが好きだわ」
空気が冷えた気がした。
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公開:21/02/28 02:03

ibara_hime

文章を削る練習をしています。
妄想は得意。感想は苦手。   ・・・・・・です。

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