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「23時59分……ふむ」
電波式の腕時計、その秒針が12を過ごしたことを何度も確認し、俺は聞かされていた入り口の赤いテープを潜り抜けた。

山頂に佇む深夜の廃園を一人で訪れるのは、オカルトライターを十年続けている俺でも流石に少し気後れする。

しばらく待ったが何も起こらない。分針は既に0時を跨いでいる。俺は首を振り、ふふ、と自分の少年心を嘲笑った。

近頃身の回りに起きた一連の不可解な出来事。点を線にしてそれらしい絵を描くのが俺たちの仕事ではあるが、本当に信じてどうするんだ。

俺はポケットから招待状を取り出し、光を当てた。

-Welcome!

文字が変わっている。俺は表情を固めたまま目を瞬いた。ごおん、という重たい金属の駆動する音が轟き、遊具に光が灯り、動き出す。

メリーゴーランドの脇から人影が現れ、こちらへと向かって来た。

「ようこそ」
弟は照れ臭そうに笑って、手を差し出した。
ミステリー・推理
公開:21/02/27 23:59
更新:21/02/28 00:14

レオニード貴海( 某海なし県 )

さまようアラフォー主夫

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