真夜中戦争

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世界が漆黒の闇に覆われている時間帯。

プーンッ。

俺の耳元に現れたお前。
人は眠る事でストレスが解消され、明日生きていく為のエネルギーが回復する。もしも眠る事を邪魔する者がいるとするならば、それを悪と呼ばずして何と呼ぶ。
だが俺は、心が広い男。一度眠る事を邪魔されたくらいでは、わざわざ殺生をしようとは思わない。

プーンッ。

また右耳か。
二度も邪魔するとは…。流石の俺も少し手が出る。手で振り払う。
しかし空振り。お前が手に当たった感触はない。

プーンッ。

次は左耳か。今度は素早く反応し、音が出たのと同時に手で握り潰す。
俺の神速の手の前に、お前は絶命したはず。
しかし手を見ると、そこにお前の姿はない。

プーンッ。

右耳。そして左耳へ。近くを連続で飛び回って「私は生きている」とアピールするお前。

いいだろう。戦争だ。
俺は部屋の明かりを点け、蚊取り線香と殺虫剤を手に取った。
その他
公開:21/02/26 21:32

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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ブラウン・シュガー
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