スカウト

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取り壊しが決まった夕暮れの公園に少年が一人佇んでいる。
私は彼に声をかけた。君をスカウトに来た、とね。
「おじさん。僕は子供だし幽霊だよ。それ理解してる?」
勿論さ。君には今建設中のマンション近くの公園に来て欲しい。そこは多くの子供達で溢れる予定なんだ。
で、子供達が多くなると問題が起こりやすい。遊具の独り占め。仲間外れやイジメ。家出。上げたらキリがない。君にはそうした迷惑な子供を挫きや困っている子供達を助けてほしいんだ。
「まるで正義の味方だね」
その通り。どうだい?
「いいよ。僕、皆のヒーローになってあげる」
ありがとう。…ところで今更だが君はそれで良いのかい?だって子供達は大人になれば君が見えなくなるんだ?寂しいとは思わないのかい?
「思わないね。だって僕、幽霊だよ。人間は玩具にしか見えなくなったんだ。おじさん、新しい玩具楽しみにしてるよ」
いやはや…無邪気とは何とも恐ろしいものだ…
ホラー
公開:21/02/26 20:58
空想の友達、その正体は… 歳を取ると見え方が変わる

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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