陽気なシャンデリア

「お兄さんお兄さん。ちょっと見ていってよ。掘り出し物があるよ」

道に風呂敷を広げて露店をしている胡散臭い感じの男に声を掛けられた。

「お兄さん一人暮らし？」
「ああ、まあ…そうだけど」
「なら寂しいでしょ。でもマンションではペットも飼えない。だからこれなんてどうよ。陽気なシャンデリア。今なら安くしておくよ」

俺は男のセールストークに乗せられ、千円という安さもあって陽気なシャンデリアを買った。

”陽気な”とは、どういう意味なんだろう。

家に帰って陽気なシャンデリアを机の上に置いた。

「はぁ～、やっと喋れるわぁ～！」
「はぁ！？」
「流石に外で喋ったら大混乱になるやろ？だからおっさんに喋るん止められててん」

一人暮らしの寂しい日々も、同居人がいるかのように感じる。食事代もいらないし、これは良い買い物をした。
だが喋りすぎて鬱陶しい。
一人になりたいとき、なれない。
それが悩みだ。