山百合

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私はだんだんと記憶が薄れていくのが恐ろしい、私は誰なのか?

お庭に菜の花が。
あっ!
遠い記憶が蘇ってまいりました。 

祖母は、たくさんの花の名前を教えてくれました。
「これがレンゲソウ、あっちに咲いてるのがシロツメクサですよ」
「おばあさんはどうしてそんなに詳しいの」
「ひとつ歳をとるたびにね、花の名前を覚えました」
「そうだ私は、もっと覚えたいから、毎年季節ごと四つ覚えるね」
優しい祖母の笑顔と会話を思い出しました。
そして、俳句、書、絵画をいそしんできたこと。目の前にある数々の作品のことを。

その夜、祖母の夢を見ました。
「あなたは、たくさんの方に喜びと幸せを与えてきましたね。そろそろ私のそばで暮らしませんか」
「わがままなお願いですが、もう暫くお役に立てないかと」
「ならばしかたありませんね」

目が覚めると、枕元に山百合。
そして知らないおじいさんがおりました。
ファンタジー
公開:21/02/25 22:59

安楽人

ずふの素人ですが、物書きに興味を持ってしまい、
2021.1月からはじめました。
身近にあった出来事をヒントに書いています。
書くことがこんな面白いとは!

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