あの日の砂場で

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家に帰る途中、子供の頃よく遊んだ公園にふらりと立ち寄る。遊具はほとんど撤去されていたが、端の方にある砂場は昔の姿のままだった。

何かに惹かれるように、砂場に足を踏み入れた。膝をつき、砂をかき集めては手で叩いて固める。無心で繰り返し、大きな山ができた。

子供の頃、よく親父と山にトンネルを掘った。片側から自分が掘り進んで、反対側から親父が掘り進む。
砂の中で親父と手を繋いで、手を引き抜いたらトンネルができる。
トンネルを覗くと、いつも親父の笑顔が見えた。

上着を脱いで、腕まくりをした。這いつくばって山を掘り進む。
丁度真ん中あたりまで掘り進んだところで、誰かに手を握られた。
驚いて手を引き抜き、山の反対側を見たが誰もいない。

恐る恐るトンネルを覗いてみると、向こう側から笑顔の親父が覗き込んでいる。

「大きくなったな」

必死に向こう側へ手を伸ばしたけど、今度は砂しか掴めなかった。
ファンタジー
公開:21/02/26 10:21
更新:21/02/26 10:22

リンムー( 東京 )

大学生
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