僕を殺してください

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「僕を殺してください。」

そう彼は私に告げた。長く殺し屋をやっているが、こんな依頼は初めてだ。どうやら、死にたいが自殺は怖いという理由らしい。こちらとしてはありがたいが、高い金を払って自殺するなんて贅沢な話である。彼は、殺してほしい日時と場所を指定し、早々と帰っていった。

数日後、私は指定の時刻に指定の場所で待機していた。そこは小さな公園だった。日没後ということもあり、人影は見当たらない。私は茂みの中でじっと、依頼人が現れるのを待った。
しばらくすると、2人組が公園に現れた。顔をよく見ると、片方は依頼人、もう片方は……もう片方も依頼人だった。私は混乱した。どういうことだ。もしや双子なのか。なら何故この場所に2人揃って現れたのだ。
ふと、背後に人の気配を感じた。まさか、誰かに見つかったのか。振り向くとそこには、依頼人……の顔をした人物が笑顔で立っていた。

「さあ、僕を殺してください。」
ホラー
公開:21/02/24 22:54

つゆだくの劣等感

超ショートショート初心者です!note(https://note.com/nankayaritai)もよろしくお願いします。

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