仕様

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 東雲先輩のことが好きだと感じた瞬間、私の心臓の辺りからバッキィィィン! という凄まじい音がした。川縁で座りながら二人で話をしていた時のことだ。先輩は私からそんな音がしたものだから、とても驚いていた。
「大谷さん、大丈夫? 凄い音がしたけど?」
 東雲先輩にそう言われて、私は思わず胸がキュンとなってしまい、同時にバキバキバッキィィィン! と骨が砕けているんじゃないかと思えるような音を響かせてしまう。
 東雲先輩は驚いて目を丸くしている。
 気まずい沈黙が流れ、その間を秋の風がゆっくりと吹いて行く。
 何だかこのまま黙っていたら、東雲先輩との関係が終わってしまいそうな気がして、私は思わずこう口にしていた。
「東雲先輩、大丈夫です。これは、その、恋に落ちた時の私の仕様なんです」
 そう言うと、心臓の辺りからバッキィィィンと音がした。
ファンタジー
公開:21/02/24 20:30
不思議なオモチャ箱

海棠咲

 幻想小説や怪奇小説を自由気ままに書いています。
 架空の国、マジックリアリズム 、怪談、残酷なファンタジー、不思議な物語が好きです。
 そこに美しい幻想や怪奇があるならば、どんなお話でも書きたいと思います。

 アイコンは宇薙様(https://skima.jp/profile?id=146526)に描いていただきました。

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