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夫との初デートは水族館だった。
暗い館内を手を繋いでゆっくり歩く。時折足を止めては水槽の中の生き物に見入っていた。

そんな夫にプロポーズされたのはプラネタリウム。
満天の星空の下、一番輝く星を私の薬指に嵌めてくれた。私の目から止めどなく流れ星が溢れ出した。

家族とはよく動植物園へと出かけた。
博識な夫の説明に子供達は目を輝かせている。夫の両手が子供達に取られてしまっているのに少しだけ寂しさを覚えた。

出産を間近に控えた私に夫が病院まで会いに来た。
「今日は君にお土産があるんだ」
夫はそう言って3つの球体を取り出す。
一つめは海のような青に魚みたく花が泳ぐハーバリウム。
二つめは夜空のような黒に星々が散らばるが如く花光るハーバリウム。
三つめは今にも動物が出てきそうな花畑のハーバリウムだ。
「子供達と作ったんだ。今度は君も一緒に作ろう」
夫は私の手を握る。それだけで私の心に花が咲く。
公開:21/02/25 20:08
水族館=アクアリウム 動植物園=テラリウム

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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