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CLOSEと書かれた看板を店の前に出し、今日の業務を終える。
マタタビを口に咥え、火を点ける。ふーっと煙を吐き出せば今日の疲れも若干空へと溶けていく感じがした。
山猫軒で働き始め、もう何年が経つだろう…光陰矢の如しとはこのことだ。野良だったころが懐かしい。
結婚を機に、真面目に働こうと決めた。
人を食い物にする仕事に心は痛まない。あいつらだって猫を食い物にしている。お互い様だ。
火を消し、片付けを終わらせると家路につく。
ふと道に咲く猫じゃらしを手に取る。子供達の土産にしよう。
「この先端の赤い部分は、猫じゃらしの花なんだぞ」と子供達に教えてやれば、父の博識なところも見せられるだろう。
猫じゃらしの花言葉は愛嬌に遊び心。偶には一緒に遊んでやるか。
『お兄さん、遊んで行かない?』と客引きの雌猫が声をかけてくる。
だが、マタタビの虫よけ効果で悪い虫である雌猫は顔を顰め私から離れていった。
公開:21/02/23 20:18
マタタビには虫よけの効果がある

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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