遊んじゃ、ダメよ

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「あの子とは遊んじゃダメよ」
お母さんは、聞いたことのないようなつめたい声でそう言った。
「なんで?なんでだめなの?」
「ダメなものはダメ。さぁ帰りましょう」
ていこうするボクの手をぐいぐいひっぱって、お母さんは歩いていく。こんなにこわいお母さんは初めてだ。
いつもは、なかまはずれなんてしないで、みんなでなかよくあそびなさいって言ってるのにさ。
「あの子とだけは、絶対ダメ」
お母さんがこわいかおしてそう言うもんだから、ボクは何も言えなくなった。
あの子は学校の子じゃない。今日、こうえんで、はじめて会った子だ。だから、なかよくなりたかっただけなのに。
ボクはちらりと後ろを見る。そして、すぐに前をむいた。あの子が、お母さんよりもこわいかおで、お母さんを見ていたから。さっきまで出てなかったのに、あたまから血がいっぱいながれてる。

「もう少しだったのに」

ボクは、お母さんの手をつよくにぎった。
その他
公開:21/02/23 11:19

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