乗車と降車

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 電車に乗っていたら、とある駅で駆け込み乗車をしようとする中年の男性を見かけた。
 ああ、危ないなぁと思っていると、私の真横に座っていた会社員らしき女性も慌てて立ち上がり、そのままダッシュで外へと出ようとした。
 こっちは駆け込み降車かぁ、と思っていると、奇しくも駆け込み乗車をしようとしている男性と、駆け込み降車をしようとしている女性が同じ出入り口を使ったものだから、両者は避けきれずにぶつかってしまった。
 途端に、二人の身体から真っ白い光が迸った。そして、次の瞬間には、二人の姿はパッと消えて見えなくなってしまったのだ。
 私はそれを呆然と見ていたのだが、他の人は慌てず騒がずで、スマポを弄ったり本を読んだりしている。
 やがて、扉が音を立てて閉まると、電車はゆっくりと動き出し、困惑する私を乗せて次の駅へと向かい始めたのだった。
ファンタジー
公開:21/02/24 07:44
不思議なオモチャ箱

海棠咲

 幻想小説や怪奇小説を自由気ままに書いています。
 架空の国、マジックリアリズム 、怪談、残酷なファンタジー、不思議な物語が好きです。
 そこに美しい幻想や怪奇があるならば、どんなお話でも書きたいと思います。

 アイコンは宇薙様(https://skima.jp/profile?id=146526)に描いていただきました。

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