夜喰い

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「こんな日は夜喰いがでる。足元に気をつけて」
バイト先を出る時にそう声をかけられた。確かにこんな風がない雪の夜は夜喰いは出る。
雪に足を取られないように道を急ぐ。雪の夜は仄かに青い。白も黒も青く染まり、静物画のように全てが動かない。そこへ、音が消えた。
「夜喰いだ!」
夜喰いは色を喰う。匂いも音も、飲み込むように忍び込む。夜喰いが這った後は何にもなくなる。朝になればそこは閉じて、なかったことも無くなってしまう。
「わあ!」
しまった、転んだ。夜喰いは僕にのしかかってきた。もうダメだ。
夜喰いの体の中を滑り込む。滑らかな道を下る時、流れ星が見えた。それからオーロラ、誰かの靴。澄み切ったベルの音…。
ぺっと僕は投げ出された。空には満月。白と黒の地平線。そして我が家の玄関。死を覚悟をした夜喰いの中は、誰かの夢の中だった。
「あら、おかえりなさい」
ご飯の香りがする。今日はホワイトシチューだ。
ファンタジー
公開:21/02/23 23:19

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
a.co/1VIyjHz

『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。

写真は全て自前でやっています(笑)

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