硫黄適性面接

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廊下のパイプ椅子に待っていた。あと二人。隣の女性は神妙な様子。と、急に胃がこみ上げてきた。係員に聞いてトイレに急いだ。あと一人だ。トイレで嘔吐した。昨夜は飲みすぎた。洗面の鏡を見ると血色が悪い。笑顔を作って戻った。間に合った。女性は部屋に入った。パイプ椅子に座り直すと女性が出てきた。部屋に入る。
事務机に一人が座る。ネームプレートは調査官。一礼をして椅子に座る。調査官は「髪の毛を五センチほど切ってください」とハサミと紙を渡す。俺は前髪をつまんで五センチほど切る。「次に爪を二、三切ってください」と爪切り。左指の爪を三本ほど切る。調査官は髪の毛と爪をガラス管に入れて装置にかける。見つめあっていると「硫黄濃度を測ります。髪の毛と爪にわずかに含まれています」
装置から印字用紙がぺろんと出てきた。調査官は数値を見てスタンプを押した。「これを持って次に」と紙を渡される。「不適性」と押されていた。
その他
公開:21/02/22 17:51

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

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