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少年には疑問があった。
目も耳も鼻も左右2つずつあるのに、どうして口だけは1つなんだろう。
母親に聞くと、
「何故だろうね。お父さんに聞いてみるといい。明日でしょ」
少年が小さい時に両親は離婚し明日は半年に一度の面会日だった。
父親にも同じ事を聞く。
「そうか…。実は2つあるんだ」
そう言って父親は口を開けた。喉の奥にもう一つ口があるのが見えた。
「口だけは左右じゃなく前後に2つあるんだ」
「…僕にもあるの?」
父親は少年の肩に両手を置いた。
「大事な事を言うよ。奥の口は本来見えない。でも一度でも使うと消えてはくれない」
「どんな時に使うの?」
「本来はいらない口なんだ。使わずに一生を終える人もいると聞く」
「でも…父さんは何故使ったの?」
「正直…覚えてないんだ。使っていた事に後で気づいた。ただ…」
父親はぎこちなく微笑んだ。
「そのせいで、母さんと一緒に居られなくなってしまった」
目も耳も鼻も左右2つずつあるのに、どうして口だけは1つなんだろう。
母親に聞くと、
「何故だろうね。お父さんに聞いてみるといい。明日でしょ」
少年が小さい時に両親は離婚し明日は半年に一度の面会日だった。
父親にも同じ事を聞く。
「そうか…。実は2つあるんだ」
そう言って父親は口を開けた。喉の奥にもう一つ口があるのが見えた。
「口だけは左右じゃなく前後に2つあるんだ」
「…僕にもあるの?」
父親は少年の肩に両手を置いた。
「大事な事を言うよ。奥の口は本来見えない。でも一度でも使うと消えてはくれない」
「どんな時に使うの?」
「本来はいらない口なんだ。使わずに一生を終える人もいると聞く」
「でも…父さんは何故使ったの?」
「正直…覚えてないんだ。使っていた事に後で気づいた。ただ…」
父親はぎこちなく微笑んだ。
「そのせいで、母さんと一緒に居られなくなってしまった」
その他
公開:21/02/22 09:23
まずは自分が楽しむこと。
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