スカイカッター

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ところで、天空を走る超特急のことは知っているか。
「スカイカッター」と呼ばれていて、空を切り裂くようなスピードで進む。
スカイカッターが走行した轍の跡には、日の出の空なら朝焼けが、日の入りの空なら夕焼けができる。雨上がりの空だと七色の虹が架かる。
スカイカッターは、光速で進むから肉眼では見えない。
でも、幻の鍾乳洞雲に駅があって停車する際に減速すると、偶然その近くを通りかかった航空機の中から、スカイカッターの姿が見えることがある。そう、未確認飛行物体の「UFO」というやつがそれだ。
なぜ、そんなにスカイカッターに詳しいかって。
おれは、スカイカッターの乗客だ。スカイカッターがつくった時空の歪みを利用して過去の日本に途中下車した。
この辺りに先祖が住んでいたはずなんだが、道を間違えたようだ。スカイカッターの出発時刻だから戻らないと。
そう告げた途端、道に迷い尋ねてきた男は、ふっと消え去った。
SF
公開:21/02/23 07:02
天空 超特急 スカイ カッター 日の出 朝焼け 日の入り 夕焼け 航空機

山田衆三( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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