未来志向。

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わたしはどれくらい生きたのだろうか?今となってはもうよくわからない。
息子と名乗る男は詐欺師ではないようだ。この施設の職員がそう言っていた・・。
こんなところに閉じ込められて、詐欺師でなくとも好ましからざる人間だ。

友人が死に、妻が死に、周りに同じ時間を生きた人間が減ってきただけのことだ。淋しいかどうかもよくわからないな。

時間感覚と認知のゆがみだけで、私をポンコツ扱いしているやつらめ。
わたしの頭はゆるんでいるかもしれないが、まったく明晰な心持ちだということをわかっていないようだ。
あちらの世界が近づいている。あちらの世界に逝かせまいとする今の医療の在り方に、今のわたしは何も決める権利がないという理不尽。

あちらの世界は楽しそうだ。
ナニモコワクナイ。

この間は母が会いに来てくれた。来週には父も来るという。妻は今もそばに。
最近気づいたことだが、死とは全く孤独ではないようだ。
その他
公開:21/02/23 02:34

入月裕美子( 日本 )

できることからコツコツと。
 

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