時期筆の手紙

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友人は四季が巡る頃に手紙をくれる。

春は土筆。植物の芽吹きを感じる筆遣いは読んでいるとその温かさについ眠くなってくる。
春眠暁を覚えずとはよく言ったものだ。

夏はヨット鉛筆。今では知っている人も少ないが高級感あふれるかの鉛筆は少年時代に憧れた。
画用紙に鉛筆でヨットを描いては「今度の夏休み、冒険に出かけようぜ!」と話し合ったものだ。

秋は柿筆。トンボ鉛筆で書かれた手紙と一緒に秋の味覚も送ってくれる。
珍宝柿とも呼ばれる柿筆に男孫はキャッキャと笑うが娘達は白い目を向ける。これ、美味いんだぞ?干し柿にしても美味いんだ。

冬は肉筆。これまで直筆で書いている以上、今更手書きを意味する肉筆を主張する事もない。
だが友人はこの肉筆にこそ力を入れる。絵が得意な友人は肉筆浮世絵を嗜んでいる。

そう、友人がくれる手紙は全て絵手紙だ。
自身の気持ちを筆に乗せ、季節ごとに62円で我が家へやって来る。
公開:21/02/22 21:04

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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