カレードリンク

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満席だと言われ、カフェを諦めて家までとぼとぼと歩く。ホットドリンクで我慢しようと、目についた自動販売機に迷わずコインを投入した。ホットコーヒーを探すと、全ての缶がカレードリンクだった。噂では知っていたがこんなに身近に合ったとは。牛肉、豚肉、鶏肉、野菜カレー等がそれぞれ、一辛から五辛まで揃っている。五辛を選べばこんな寒さはふっとんでしまうだろう。早く決めないと雪に埋もれてしまう。
「野菜カレーは美味だが、野菜が底に溜まるのが難点なんだよな」
突然声をかけてきたおじさんはこの吹雪の中で真っ赤に蒸気していた。手にビーフカレー(地獄谷)を持っている。
「もう、五辛じゃ燃えなくてね」
走り去ったおじさんから硫黄の匂いがした。
野菜カレーの五辛を押す。プルトップを開けると香辛料が雪に混じって火の粉になった。
「あちっ」
通行人が片目を押さえてこちらを睨んだ。謝りつつ飲むと喉が燃えた。
ファンタジー
公開:21/02/20 23:58
カレードリンク 本当にあるのですね

射谷 友里

射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。

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