「カリフラワー」その1(偽書『名前も知らない花』・全4回)
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「どのような花をお探しですか」
花谷紗枝がいつもの営業スマイルで尋ねると、客の青年は人懐っこそうな顔を向けた。
「女性へのプレゼントなんですけど」
「恋人さん?」
「いえ、全然。名前も知らない人です」
すると紗枝は、ピンときたように言った。
「もしかして雑貨屋さん?」
「なんでわかるんですか」
それには答えず、紗枝は1本の花を手に取った。
「これなんていかがでしょう」
「高っ! う~ん、確かに綺麗な花ですけど値段が」
「花純ちゃん、この花好きなんですよ」
「あの人のこと知ってるんですか!?」
「ええ。こちらにもよくお見えになりますよ」
「あの、他に何か知ってることは」
「にこにこ」
「……その花1本ください」
「にこにこ」
「5、いや10本ください!」
「ありがとうございます」
適当な情報を仕入れた青年は、花束を抱えて店を出て行った。
「頑張ってね」
紗枝の楽しそうな笑顔に見送られながら。
花谷紗枝がいつもの営業スマイルで尋ねると、客の青年は人懐っこそうな顔を向けた。
「女性へのプレゼントなんですけど」
「恋人さん?」
「いえ、全然。名前も知らない人です」
すると紗枝は、ピンときたように言った。
「もしかして雑貨屋さん?」
「なんでわかるんですか」
それには答えず、紗枝は1本の花を手に取った。
「これなんていかがでしょう」
「高っ! う~ん、確かに綺麗な花ですけど値段が」
「花純ちゃん、この花好きなんですよ」
「あの人のこと知ってるんですか!?」
「ええ。こちらにもよくお見えになりますよ」
「あの、他に何か知ってることは」
「にこにこ」
「……その花1本ください」
「にこにこ」
「5、いや10本ください!」
「ありがとうございます」
適当な情報を仕入れた青年は、花束を抱えて店を出て行った。
「頑張ってね」
紗枝の楽しそうな笑顔に見送られながら。
その他
公開:21/02/20 21:58
水素カフェさん
『名前も知らない花』
番外編
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