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胸騒ぎと裏腹に、Gは待合わせた駐車場へ乗り入れた。
ニュースを聞いていたカーラジオを切り、車外で顔を合わす。
第一声、「タイヤが生きてた」

「タイヤに意志があるんだ。車の下から抜けようと、一生懸命走るぞ」
俺は頷いた。「速そう」
「けどブレーキの言うことを聞かないんだ。四輪で結託して、車体を破壊して自由になろうとしたんだぜ」
危険じゃないか。
反抗的タイヤを睨みつけようと目線を上げた。
だが車はない。さっきそこへ停車したのに。
「踏切事故のニュースはまさか……」
「突っ込んじゃった」
「無事だったのは奇跡だな」

足元を見るとGの足はなく、代わりにタイヤが転がらず静止している。
「挨拶に寄ったんだ」とタイヤ。
「お前が来るまで二人で待ってるぜ」
「羽目を外し過ぎて地獄に落ちるなよ」
Gは一輪車を乗りこなすように、転がるタイヤに乗って西へ去った。
ホラー
公開:21/02/20 20:00

ぼーもんと

わたしはロボットではありません。

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