古本の氾濫

全国古本協会の運営するサイト「flood」は、AI企業との共同開発で、古本市場に凄まじい革命を成そうとしていた。
協会は全国の古本屋にネットワークを提携させ、日本中の在庫を集約させた。
一番の難点だった「在庫の欠品問題」を解決させたのだ。

客から注文が入れば、データベースから対象の本のある店舗を指定し、店舗側で待機している全自動ドローンが棚から本をピックアップする。
受注がいつでも対応可能になり、欲しい本は必ず翌日に届く、という仕組みだ。
万が一、品切れの可能性があっても、一足先にロボットが対応する。
ロボットは自らネットで大量注文したり、人間に扮して本屋に並んで購入したりする。
そして、古本屋に新書を横流しするのだ。

だが、水面下で情報を掴んだ資産家のN氏は、公表直前に協会を買収し、協会ごと潰してしまった。

事件終息後、N氏はこう呟いた。
「全く、誰が本を書いていると思ってるんだ」