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カプセルに入って眠る娘はまるで眠り姫のようだった。花に囲まれ、微動だにしない。

何でも出来る娘は私の自慢だった。
だが娘は難病に侵されていた。それは今の医療技術では治療が不可能と言われる病気。
長くは生きられないと医者から伝えられた時、私は絶望した。
だから私は決断した。娘をコールドスリープさせる。
今で無理なら、未来に託そう。私は震える指で装置のスイッチを押した。
病気の治療方法が見つかるのは一年後か、十年後か、百年後か…どれだけかかってもいい。娘が健康になってくれればそれだけでいいんだ…

ふいに病室のドアが開かれる。
「ただいま」
そこにいたのは娘だった。
私は混乱する。どう言う事だ?
「私ね、千年先の未来から来たの。病気の治療法より先にタイムマシンが開発された未来よ。先生が特別に過去に戻る事を許してくれたの」
花のような笑顔を私に向ける娘。
本当にお前は何でも出来る自慢の娘だよ。
SF
公開:21/02/21 21:00

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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