「ビール倶楽部」

「ビール倶楽部」はスティックタイプの粉末商品。麦芽、ホップ、ビール酵母などを特殊製法で顆粒にし、一袋分を水に溶かすと本格的なビールが出来上がる。簡単に作り立てのビールが味わえる今年のヒット商品である。
さて、話題になったのはこの商品を発明したのがロボットであったという事実だ。Ｋ１はビール製造工場の検査ロボットだった。ラインに投入するビール酵母を毎日検査するうちに酵母の顆粒化を思いつき、それから新商品を開発するに至ったという。データ記録する初級AIは搭載するが商品企画する能力を備えていたとは思えない。本当にＫ１の発明なのかどうか、話題作りのための作り話との疑念もあったがどうやら本当らしい。検査作業のうちにＫ１が学習を深めたようだ。AI工学的にも研究対象事例である。
Ｋ１は「ビール倶楽部」のヒットによって製造本部長に抜擢された。ビールメーカーの役員に推挙される日も遠くはないらしい。