人生列車の停まる駅

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ほとんど人気のない駅の改札をぬけると、そこには昭和の残り香が漂っていた。
一歩、路地裏に入ると、何やら無性に懐かしい排気口からの匂い‥‥そして、しだいに幼いころの記憶よみがえってくる。
たしか、あの角を曲がった所には駄菓子屋があったはず‥‥
そして、この通りの外れには‥‥そうそう古びた映画館が‥‥(あれ)、その場所には記憶のどこを探しても思い出せない旅館があった。
(ちょうど、いい所にあった)その時、凄く疲れていた僕は、この旅館に泊まることにした。
さっそく、品のいい女将に部屋まで通された僕は、なにげに女将に聞いてみた。(ここの駅は、やけに人が少ないですね〜)
すると、にこやかに女将が言った。
長い間お疲れ様でした、浮世の疲れを全部洗い流して下さいな。
僕は、ゆったりと湯船に首まで浸かると、思わず言葉が漏れた。
(あ〜極楽、極楽、まるで天国にきたみたいだ〜〜)
その他
公開:21/02/19 11:14

NORIO( 福島県 )

最近、趣味で小説のようなものを書いてみようと思いました。よろしくお願いいたします。

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