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しがない花屋の私のもとに今日も死体が運び込まれる。
最近の葬式はやたら金がかかる。金がある奴はいい。斎場を借りて、ちゃんと送るといい。
しかし金のない奴はどうする?斎場を借りる事も出来なければ、下手すりゃ火葬する予算もない。故人も遺族もこれでは浮かばれない…そんなないない尽くしの方々の為に私がいる。
花で故人を送る葬儀。通称・花葬。
私は故人の体に特殊な彼岸花の種を植えていく。それはすぐに芽を出し、するすると伸びていく。
松明の様に灯る花は故人を養分に美しく咲く。養分を吸われ続ける故人は風化が進んでいく。
全て花が散る頃、そこには故人の骨だけが残される。まるで火葬したかのように。
花葬の花はまるで花火のよう。遺族は一時の美しさに目を奪われ、故人との別れを惜しむように最後の一輪が枯れるまで見守る。
葬儀を終え、礼を言う遺族。
最近の花屋の配達区域は天国にまで及ぶのかとお互い苦笑いを浮かべた。
公開:21/02/18 20:17

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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