ホワイトパニック

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「おい、俺らも入れてくれ!感染しちまう」
仲間が乞うている。
なのに、身体が動かない。
「私……ここで……」
「おい頼むよ!せめて彼女だけでも」
女は泣き叫び、男は必死に訴える。
恐怖に怯える二人を前に、俺は見ることしか出来ない。
「悪いな二人共。俺もここを離れるわけにはいかない。仲間の助けを待つしか――」
「仲間なんてこねぇよ!」
ああ。たしかにその通りだ。
そんなこと冷静に考えれば誰にでも分かる。
彼らに向かって、俺はよくもそんな適当なことを言えたものだ。
「来た……奴らだわ」
「嘘だろ挟み撃ちかよ!」
「あなた。愛してる」
「おい、今そんなこと言う――」
刹那。戦場は阿鼻叫喚の地獄へと変貌した。
変わり果てた二人の姿が眼に映る。
俺は、生き延びた。またこの地獄で。
次のゲームでも、また……





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「はい。黒四九、白十五で、俺の負けです」
「角が肝なんだよ、オセロは」
ホラー
公開:21/02/18 17:41

藤崎正(セカンドオニオン)

2021年2月に、物語を考えるのが好きで始めました。
もしよければ、コメント残して頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。

追記:2021.11.14 名前を『藤崎正』(フジサキショウ)に改名しました。一応分かりずらいと思うので、旧名(セカンドオニオン)は、付け足しで残しておこうと思います。


物語.com https://monogatary.com/user_page/story/f73e9d0f-3f97-11ec-81c5-0242ac120002

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