星空をいく

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ガタンゴトン。音と振動で目を覚ます。そこは電車の中のようだった。現代にしてはやけに古めかしい内装だが、特に気にもならず、そのまま電車に身を任せる。
自分の他にも乗客がいるらしい。子供からお年寄り、果ては赤ちゃんまで乗っている。年齢の幅広さに複雑な感情を覚えていると、5歳くらいの子供が寄ってきた。
「おとなりにすわっていい?」
「ええよ、おいで」
そう頷くと、子供はいそいそと私の隣に座った。
「あのね、おかあさん、どこさがしてもいないの」
不安げにそう告げる子供。こんな幼い子が、今ここに一人でいることを理解できるわけはなく、 そして私は、偽り無く真実を伝える勇気もなく。
「いつか、会いに来てくれるよ」
そう告げるしか出来なかった。

電車が止まる。
『0~18歳未満の方はこちらでお降り下さい』
アナウンスが流れ、子供は電車を降りて行った。

そして、電車は再び走り出す。

星空を逝く。
その他
公開:21/02/20 10:44

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