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アポも取らず、元彼の住むマンションを訪れた。
下心はない。掃除していたら彼の私物が出てきた。それを返そうと思っただけだ。
でも…もしかしたらやり直せるかも…少しだけ、そんな期待をしていた。
チャイムを押す。返事はない。どうやら留守のようだ。
ため息をつく私に魔が差した。鍵、まだ使えるかな…
同棲していた時に使っていた鍵をさしてみる。ガチャリ。何の抵抗もなく開いた。
彼の部屋に久しぶりに入る。変わってないな…なんて事はなかった。
新しい女の影があった。そっか…もう彼女出来たんだ…
『遅くなるから、チンして食べてね』
書置きと共に置かれた夕食。それに私は箸を伸ばす。
ダメね、彼はもう少し濃い味付けが好きなのよ。
私は鞄から、がんばりましょうシールを取り出すと夕食に貼り付ける。
彼女も園の子供達みたく、花丸シールを貰えるように頑張ってくれるかしら?
頑張れないなら、私が彼の為に頑張らなくちゃね…
公開:21/02/19 20:48

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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