みんなが女神

僕は人生で一度本気で人を好きになった。そのときの彼女はまさに女神だった。だが彼女が去ると僕は孤独になった。だんだん幸せ度も失われていった。僕は彼女が行ってしまわないようにしっかりとどめておけばよかったと後悔している。そんな僕は日常生活ですっかり浮いた存在になっていた。僕は彼女がいたときのような幸せをまた取り戻したい、そう思っている。
そんなとき僕は思った。みんなをあのときの彼女のような女神に見立てようと。そして実際やってみると少し気分が楽になった。そしてまた少しずつ幸せ度が増していった。そんな僕は街のテニスサークルに入った。以前だったら浮いた存在になっていただろう。だがみんなを女神に見立てた僕はサークルに溶け込むことが出来た。そしてまた好きな人が出来た。やがてその人と結婚し、子供までできた。こんな日が来るなんて思っていなかった。やっと掴んだこの幸せ、決して離さない、僕はそう思っている。