酔っ払いの帰巣本能

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 ある年の暮れ、忘年会で僕達はかなり飲んでいた。その中でも西野がひどかった。
 会がお開きになり、僕は彼に「西野、お前ちゃんと帰れるのか?」と尋ねる。
 すると彼は「どぅあいじょぉぶぅ」と、呂律が回らない口調で答えた。
 誰もが帰りに西野が事故に会わないか心配したが、彼をそのまま帰すことにした。と言うのも、皆もひとの事を気にする余裕なんて無かったのだ。
 そしてここからは西野と彼の母親から聞いた話である。
 翌朝、彼の母がゴミを出す為に外に出ようとすると、何かにつっかえて玄関のドアが開かない。そこでドアをスイングさせて思いっきり開けると、「ガン」という大きな音がした。彼女が足元を見ると、頭を痛そうに抱えて唸る息子が転がっていた。
 後日、西野は「どうやって帰ったか覚えていないが、家の前まで来て安心した」と話している。
 どうやら彼は、自宅の玄関を見ると、安心してその場で眠りに落ちたようだ。
その他
公開:21/02/16 23:45
酔っ払い 忘年会 飲み過ぎ 帰巣本能

Azuki Smith( 横浜 )

写真撮影が趣味で、英国文学をはじめとした外国文学が好きな会社員
旅が好きでヨーロッパとアジアを中心に多く国を旅している
また、イギリスに住んでいたこともあり、英国文学に多くの影響を受けている
喋れる言語は日本語 (ネイティブ) > 英語 (アカデミック) >>...>> ドイツ語 (何とか旅が出来るレベル)

投稿内容はその他(主に紀行文)、青春、ホラー、ごく稀に恋愛(でも悲しい物語)

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