少女は傘を差さない

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どんよりした雨雲と湿っぽい空気が辺りを包む夏の夕方。
玄関まで来たところで、視界に入る傘を探す少女。

「誰か間違ったのかな」
「傘無いの?」
「ん、私の日傘なんだ。間違った人が濡れてなければ良いけど」
「傘貸そうか?」
「大丈夫。このくらいの雨なら私傘は差さないの」


「ほらね」
少女は両手を広げ、ニッコリと一回りして見せた。

「何かいいね」
僕もつられて一回り。



夏なのに長袖と長いスカート。
日光を浴びれない少女にとって、雨の日は少し幸せな日となる。
空を見上げる僅かな機会を大切に、彼女は傘を差さない。

少女はたくし上げたスカートの裾を絞りながら、ニッコリ微笑む。
裾から覗く真っ白な足。
綺麗で、でも儚くて、真っ直ぐで、でも危うくて。
僕の心はギュッと掴まれた。


「そう言えば明日も雨みたいだね」
「うん、明日も楽しみ」
そう言いながら彼女はニッと笑顔になった。
青春
公開:21/02/16 23:22

ats

話や文章の組み立て方やオチをつける練習になればと思ってます。
よろしくお願いします。

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