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夫が亡くなって数日後、花を咥えた野良猫が私の前に現れた。
猫は私の前に花を置く。もしかして慰めてくれているの?
そう言えば生前夫は「生まれ変わったら猫になりたい」と言っていた。もしかしてこの猫は夫の生まれ変わりではないだろうか?きっとそうだ。私は猫を飼う事にした。
不思議な猫だった。花が枯れると数日間家を離れ、また新しい花を咥えて戻って来る。
猫がいない日は不安であった。だから花をいつも以上に大切にしていた。
その猫も10年すると天国へと旅立った。私はまた、夫に置いていかれた…
悲しみに暮れる中、またもや花を咥えた野良猫が私の前に現れた。
おかしい…転生するにしても早すぎる…
花を受け取り、思案する。もしかしたら私はとんだ思い違いをしていたのかもしれない。
夫はずっと私に愛され続けたいと言っていた。私の愛するもの。それは花。
「もしかして、あなたなの?」
私の問いに花は頷く様に縦に揺れた。
ファンタジー
公開:21/02/16 20:56

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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