ジョナサンっぽい生き方

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僕は戻らなかった。何も告げず仲間と別れ、ひとりぼっちで反対へと向かい、荒れ狂う海を見つめて思った。

「これでやっとひとりになれる。今日から僕は自由だ」

もちろん残された妻や子供に対する後ろめたさはあった。それでも僕は心の底から湧き出る衝動に逆らえなかった。無責任、けっこう!

それから数十日が経過した。ひとりで過ごす快適さを享受していたら集団がやってきた。ご近所だった奥さんを見かけて、思わず僕は隠れてしまった。彼女らをやり過ごし、また快適なひとりぼっちに戻った。

またしばらく経ち、今度は、最初に別れた仲間たちがやってきた。隠れようとしたが目ざとい仲間に見つかってしまった。

「おい、今までずっと何やってたんだ? お前の奥さんと息子、亡くなったぞ」

当然わかっていたことを聞かされたが、僕に思うことはもうない。

「それじゃ!」

そういって僕は海に飛び込んだ。

「ああ、シャチだ」
その他
公開:21/02/18 16:47
418 南極のコウテイペンギン つがいは一蓮托生 海で襲われる危険性 自由にいきたい葛藤 オオカミの自信作

武蔵の国のオオカミ( ここ、ツイッタランド、タイッツー )

武蔵の国の辺境に棲息する“ひとでなし”のオオカミです。

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