浮世絵再現プロジェクト

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 かつて歌川広重の描いた『東海道五十三次』に登場する景勝地「吉原宿」は見事な松並木の有名な土地であった。しかしそれも遠い江戸時代の話。その後はどんどんと変遷を遂げ、今ではほんの一本残されただけの松の木のその脇を日本のどこにでも見られるようなアスファルトの車道が走るという、平々凡々としたものに変わり果ててしまった。
 そこで東海地方の地域振興活動『浮世絵再現プロジェクト』が始まった。浮世絵に描かれた景色を、そのままの構図でリアルに再現しようというのだ。手を入れる土地の広大さもさることながら、そこに本物の松並木を移植することとなり、かなり大規模な工事となった。しかし、それが完成すると観光客たちから感動の声が上がった。その見事な造成技術もさることながら、新たに生み出された眺望は奥に聳える富士山を借景してまさに「リアル浮世絵」と完成していたからだ。誰もが興奮して夢中にシャッターを切っていた。
その他
公開:21/02/18 09:24
浮世絵

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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