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前にも言ったかもしれないけれど、ぼくはマトリョーシカがこわい。
「脱皮を見においでよ」
とさそわれてユキヤくんのおうちにいった。ユキヤくんは、カニをたくさん飼っているんだ。
「これがこいつらの脱皮の皮だよ」
ユキヤくんが水槽の置いてある台のひきだしをあけた。皮がぎっしりつまっていて、へんな臭いがした。ぼくはちょっと気持ちが悪くなった。
「おトイレ借りるね」
縁側を歩いておトイレに行く途中、ギチギチという音が聞こえた。障子が少し開いていたので覗いてみると、畳の上にマトリョーシカが転がっていた。ぼくはこわくてたまらなかったけど、なんだか目が離せなかった。
ピシッ
マトリョーシカに裂け目が入って、そこからモリモリと何かが盛り上がってきた。
「始まった」
いつの間にか背後にいたユキヤくんが言った。
「あとで、あれで遊ぼうね」
だからぼくはやっぱり、マトリョーシカがこわいんだ。
「脱皮を見においでよ」
とさそわれてユキヤくんのおうちにいった。ユキヤくんは、カニをたくさん飼っているんだ。
「これがこいつらの脱皮の皮だよ」
ユキヤくんが水槽の置いてある台のひきだしをあけた。皮がぎっしりつまっていて、へんな臭いがした。ぼくはちょっと気持ちが悪くなった。
「おトイレ借りるね」
縁側を歩いておトイレに行く途中、ギチギチという音が聞こえた。障子が少し開いていたので覗いてみると、畳の上にマトリョーシカが転がっていた。ぼくはこわくてたまらなかったけど、なんだか目が離せなかった。
ピシッ
マトリョーシカに裂け目が入って、そこからモリモリと何かが盛り上がってきた。
「始まった」
いつの間にか背後にいたユキヤくんが言った。
「あとで、あれで遊ぼうね」
だからぼくはやっぱり、マトリョーシカがこわいんだ。
その他
公開:21/02/18 07:22
こわいわけ
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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